
「なんで早く言わないんだ!」男性社会で学んだ、遠慮と配慮の違い
忙しそうな上司に遠慮して声をかけられず、「なんで早く言わないんだ!」と叱られた経験があります。約30年間、男性中心の建設業界で働く中で気づいたのは、遠慮と配慮は必ずしも同じではないということ。相手の状況を見極め、確認事項の優先順位を整理し、自分の事情も伝える。相手も自分も大切にしながら仕事を前に進める、現場で培ったコミュニケーション術を紹介します。
「今、声をかけてもいいのかな……」
忙しそうに仕事をしている上司を見て、声をかけるのをためらったことはありませんか?
「今は忙しそうだから、もう少し後にしよう」
「こんなことで手を止めさせたら悪いかな」
「今、話しかけても大丈夫だろうか」
実は、私もそうでした。
私は約30年間、男性中心の建設業界で働いてきました。そのうち23年間は現場管理に携わり、さまざまな立場や考え方を持つ人たちと仕事をしてきました。
今でこそ相手の状況を見ながら、声をかけるタイミングや伝え方を判断していますが、最初からできていたわけではありません。
むしろ、遠慮して声をかけられなかったことで、失敗した経験があります。
「なんで早く言わないんだ!」
上司が忙しそうにしている。
今、声をかけたら邪魔になるかもしれない。
そう考えているうちに、声をかけるタイミングを逃してしまったことがありました。
そして、必要な報告や確認を先延ばしにしたことで、結果的に失敗してしまったのです。
「なんで早く言わないんだ!」
上司から叱責を受けました。
こちらとしては、相手の仕事を邪魔したくなかった。
忙しいのが分かっていたから、少し待とうと思った。
でも、相手からすれば、もっと早く知っておきたかったことだったのかもしれません。
その経験から、私は少しずつ考えるようになりました。
相手に遠慮することと、相手を思いやることは、必ずしも同じではない。
遠慮することで、相手の判断材料を止めてしまうこともある
仕事には、それぞれの役割があります。
自分で判断できることもあれば、上司の意見や決裁が必要なこともあります。
相手が忙しそうだからといって、必要な報告まで先延ばしにしてしまうと、相手が状況を把握したり、判断したりする機会まで遅らせてしまうことがあります。
もちろん、どんなときでもすぐに話しかければいい、ということではありません。
大切なのは、相手の状況と、自分が伝えるべきことの重要性、その両方を考えること。
私は失敗を重ねる中で、ただ待つのではなく、状況に応じて伝え方を変えるようになりました。
「あとで」と言われたら、まず相手を見る
例えば、上司に確認したいことがあり、「あとで」と言われたとします。
そんなとき、私はまず相手の状況を見ます。
明らかに仕事が立て込んでいるのであれば、一区切りつくタイミングを考えます。
反対に、忙しさが見えないときには、具体的な時間を確認します。
「何時頃なら大丈夫ですか?」
もし、今すぐ確認する必要があるなら、
「5分だけ、お時間いいですか?」
と、必要な時間を伝えることもあります。
今は対応できないと言われたら、「一区切りついたら、お願いします」と伝えます。
ただし、自分にも時間の制約がある場合は、その期限もきちんと伝えます。
相手の忙しさを尊重することと、自分の事情を伝えることは、両立できるのです。
確認事項が5つあっても、今聞くのは1つでいい
確認しなければならないことが、いくつもある場合もあります。
そんなとき、私はすべてを一度に聞こうとはしません。
「確認したいことが全部で5つあるのですが、急ぎの1つだけ、今いいですか?」
このように伝えることがあります。
5つ確認したいことがあるからといって、今すぐ5つすべてに答えてもらわなければならないとは限りません。
今、判断してもらわなければ仕事が止まってしまうこと。
少し後でも間に合うこと。
その優先順位を、自分の中で整理しておくのです。
確認事項の全体量と緊急性が分かれば、相手も対応を判断しやすくなります。
自分が聞きたい順番と、相手に判断してもらうべき順番は、必ずしも同じではありません。
相手の時間を大切にするというのは、単に遠慮することではなく、相手が判断しやすい形に整えることでもあると思っています。
待っている間にも、できることはある
すぐに対応してもらえないとき、私はただ待っているだけではありません。
相手が今している仕事で、自分にも手伝えることがないかを考えます。
そして、自分の仕事の中で先に進められることは、できるだけ終わらせておきます。
相手の意見や判断、決裁が必要なことだけを残して、確認事項を整理しておくのです。
そうすることで、相手に時間を取ってもらえたとき、必要な確認を短い時間で進めやすくなります。
もちろん、相手の仕事を何でも引き受けるということではありません。
自分にできること、自分が責任を持って進められることを考えます。
相手を待つことと、自分の仕事を止めることは違う。
これも、現場での経験を通して身につけた考え方です。
関わり方を変えると、相手の対応にも変化が生まれた
こうした対応を続けるうちに、ただ待っていた頃よりも、上司や周囲の人たちが対応してくれることが増えました。
もちろん、相手にも相手の仕事があります。
それぞれの仕事の重要性も、判断の優先順位も違います。
こちらの都合だけで、すべてを優先してもらえるわけではありません。
それでも、お互いの状況を伝え合うことで、折り合いをつけてもらえる場面が増えていったのです。
私が身につけたのは、相手を急かす方法でも、上手に機嫌を取る方法でもありません。
相手の仕事も、自分の仕事も前に進めるために、どう関わるか。
その判断を積み重ねることの大切さでした。
明日から使える、遠慮を配慮に変える5つの視点
もし、誰かに声をかけるタイミングで迷ったら、次の5つを意識してみてください。
- 見る:相手は今、どんな状況にあるのか。
- 聞く:いつ頃なら対応してもらえるのか。
- 伝える:自分は何を、いつまでに確認する必要があるのか。
- 整理する:今すぐ必要な判断と、後でもよい確認は何か。
- 動く:待っている間に自分が進められること、手伝えることはないか。
すべてを順番どおりに行う必要はありません。
大切なのは、相手の状況に合わせながら、自分の行動を選ぶことです。
遠慮よりも、伝わる方法を考える
約30年間、男性中心の建設業界で働く中で、私は何度も失敗し、そのたびに人との関わり方を学んできました。
そこで気づいたのは、コミュニケーションは単に「何を言うか」だけではないということです。
誰に、いつ、どんな状況で、どう伝えるのか。
そして、相手が判断しやすいように、自分には何ができるのか。
相手の性格を変えようとするのではなく、関わり方を工夫する。
遠慮は、自分の言葉を止めることがある。
配慮は、相手に届く方法を考えること。
相手の事情も、自分の事情も大切にしていい。
一方だけが我慢するのではなく、お互いの仕事が前に進む方法を探していく。
それが、私が男性社会で培ってきたコミュニケーション術の一つです。
そして今、こうした現場での経験を、相手を変えずに関わり方を変える独自メソッド「オジコロ」として体系化しています。
まずは、普段の自分がどのように相手と関わっているのかを知ることから。
自分のコミュニケーションの癖や強みに目を向けるだけでも、これまでとは違う選択肢が見えてくるかもしれません。
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