独立してから
家庭教育相談という仕事を始めたとき、私の手元にあったのは、教員時代に培った子どもと向き合う経験だけでした。人と人をつなぐこと、信頼関係を積み重ねていくこと。独立して事業を営むうえで、そのどちらもが未知の領域でした。 名刺を配り、挨拶を交わす。そこまでは形になっても、その先どうやって関係を深め、次につなげていけばいいのか。当時の私には、出会いを一過性のもので終わらせない方法がわかっていませんでした。教員時代は目の前の生徒と向き合い続ければよかったものの、ビジネスの場で初対面の方と信頼関係を築くという経験は、ほとんど積んでこなかったのです。
大黒文矢さんとの出会い
独立して間もなくして出会ったのが、大黒文矢さんです。場を俯瞰して発言される姿や人接する時の丁寧さ、話をじっくり聞く姿勢に、それまで出会ってきたビジネスパーソンとは違う印象を受けました。「この人何者??」が正直な印象でした(笑)
「出会い」を「資産」へ ー アポイント心理学の提唱
大黒さんは、独自に「アポイント心理学」という考え方を提唱しています。この発想が生まれた背景には、独立直後に味わった大きな挫折があります。携帯電話の販売やスクールの営業では確かな実績を残してきたにもかかわらず、いざ自分の商品を売ろうとした瞬間、まったく売れなくなった。以前は「すでに必要性を理解している相手」が目の前にいたのに対し、独立後は「必要性から理解してもらう」ところから始めなければならなかったからです。この時に気づいたのが、価値があることと、その価値が相手に伝わることは、まったく別だという事実でした。
同じ頃、事業を共にする仲間や、資産型経営を提唱するメンターとの出会いを通じて、大黒さんはもう一つの視点を得ています。それが「頑張ったかどうか」ではなく「頑張った結果として、何が残るか」という資産の視点です。世の中には、本来の仕事以上にアポイントの時間に追われ、それでいて売上にも紹介にも信用にもつながらず、ただ時間だけが消えていく経営者が驚くほど多い。大黒さんはこの状態を「アポイント本職社長」と名づけ、そこから抜け出す必要性を強く感じるようになりました。
一度の出会いを名刺交換や雑談だけで終わらせず、そこで交わした言葉や相手の関心事、悩みを丁寧に記録し、次に会うときの糸口にしていく。1件1件の対話を、しっかりとデータベースに蓄積していく姿勢は、独立したばかりの私にはまったく持ち合わせていない発想でした。
出会いというものは、名刺交換をした瞬間に価値が生まれるわけではありません。その後どれだけ丁寧に関係を育てていけるかによって、初めて資産へと変わっていく。大黒さんと接していると、1人ひとりとの出会いが、その場限りで消費されるものではなく、時間をかけて積み上がっていく財産なのだと実感させられます。何百人、何千人と会っても、その一人ひとりの情報が記録され、必要なときに取り出せる状態になっている。この積み重ねこそが、大黒さんの提唱するアポイント心理学の実践そのものなのだと感じています。
柔らかな物腰と、行き届いた配慮
大黒さんの物腰は、とにかく柔らかいです。言葉の選び方1つ、相槌の打ち方1つにも、相手への配慮が行き届いています。初対面の相手であっても身構えさせず、自然体で話せる空気をつくってくれる。強い言葉で相手を動かそうとするのではなく、穏やかな姿勢のまま、気づけば相手が自分から動きたくなっている。そんな不思議な力を持っている方です。
本心を引き出す、圧倒的な質問力
大黒さんと話していて何より驚かされるのが、質問力です。表面的な要望をなぞるのではなく、相手が言葉にできていない本心まで、自然な会話の流れの中で引き出していく。詰問するような聞き方ではなく、むしろ穏やかな問いかけの積み重ねなのに、気がつけば自分でも気づいていなかった本音を話してしまっている。そんな感覚でした。急かさず、遮らず、こちらのペースに合わせてくれる。その余白があるからこそ、相手も安心して本心を打ち明けられるのだと思います。
まめな連絡と、密な情報共有
連絡のまめさも、大黒さんの大きな特徴です。知人と話したことなどがあれば、すぐに共有してくれます。こちらから催促する前に、必要なタイミングで必要な情報が届く。そのやり取りの積み重ねが、単発の付き合いを継続的な信頼関係へと変えていきます。人のために動ける方だからこそ、こうした細やかな連絡が自然な形でできるのだと感じています。
忘れられない、あの対話
事業を始めて、とにかく多くの人に会おうと、アポイントの数だけを追いかけていた時期がありました。相談したとき、大黒さんからいただいたのは「アポをたくさん入れても、時間を溶かす可能性があるので考えた方がいい」という一言でした。数をこなすことに必死だった私にとって、それは意外な指摘でしたが、言われてみれば、目的のはっきりしないまま入れていたアポイントも少なくありませんでした。その一言をきっかけに、アポイントの入れ方そのものを見直すようになりました。今では、誰と、何のために会うのかを考えてから予定を入れる習慣が、私の中にも根づいています。
あの出会いが変えた、私の未来
今、私が人との出会いに向き合うときの姿勢は、大黒さんと出会う前とはまったく別のものになっています。名刺を交換して終わりにするのではなく、その出会いをどう育てていくか。日々の対話を、次につながる資産としてどう積み上げていくか。その視点の土台をつくってくれたのが、大黒さんとの出会いでした。
もし大黒さんとの出会いがなければ、私は今も出会いを一過性のものとして扱い、多くの縁を取りこぼしていたはずです。目の前の一件一件を、その場限りのやり取りとして流してしまい、後になって「あの時もっと丁寧に向き合っていれば」と悔やんでいたかもしれません。想像するだけで、もったいなさを感じます。もっと早く出会っていれば人と出会って費やしてきた数百時間を浮かせられていたかも・・・
おわりに
大黒さんは、単に人当たりの良い方ではありません。柔らかな物腰と丁寧な配慮、そして本心を引き出す質問力。この二つが土台にあるからこそ、まめな連絡や情報共有、出会いのデータベース化といった積み重ねが、確かな信頼と資産へとつながっていっているのだと思います。人との関係づくりに悩んでいる方、出会いを次につなげられずにいる方がいるなら、ぜひ一度、大黒さんと話をしてみてください。柔らかな物腰の奥にある確かな仕組みに触れたとき、これまでの人付き合いの捉え方が、静かに、しかし確実に変わっていくはずです。特にコラム!必読です。

