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会社概要だけでは伝わらない?経営者の想いを「事業の言葉」にする情報発信
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会社概要だけでは伝わらない?経営者の想いを「事業の言葉」にする情報発信

会社概要や代表挨拶だけでは、その会社らしさは伝わりにくいものです。経営者の想いを、実際の経験・判断・行動とつなげて言葉にするための3つの問いと、伝わる文章にする方法を経営者向けに解説します。

会社概要のページには、所在地、設立年、資本金、事業内容が並んでいます。どれも欠かせない情報です。けれど、それを読んでも、「この会社はなぜこの仕事をしているのか」「どんなことを大切に判断しているのか」までは、なかなか伝わってきません。

第5回では、「高品質」「丁寧」といった抽象的な強みを、具体的な事実で伝える方法を紹介しました。今回は、もう一歩踏み込みます。事業の背景にある、経営者の考え方の伝え方です。

経営者の想いは、なぜ企業の情報として大切なのか

お客様が依頼先を選ぶとき、求職者が応募先を考えるとき、判断の材料になるのは価格や条件だけではありません。「この会社は、何を目指して仕事をしているのか」「困ったときに、どう判断してくれそうか」も、会社を理解する手がかりになり得ます。

ここで扱う「経営者の想い」は、経営者の個人的な半生や、感動的な物語のことではありません。会社の仕事のしかたや、日々の意思決定に結びついている考え方のことです。

もちろん、想いを発信したからといって、信頼が高まったり、売上や採用につながったりすると決まっているわけではありません。それでも、会社の考え方が言葉になっていれば、読み手は自分に合う会社かどうかを判断しやすくなります。

「地域に貢献したい」だけでは伝わらない理由

代表メッセージには、こんな言葉がよく並びます。

  • 「地域に貢献したい」
  • 「お客様を笑顔にしたい」
  • 「社会をよりよくしたい」

どれも、企業が大切にしたい考え方を表す言葉です。けれど、多くの会社が同じように書いているため、この言葉だけでは会社ごとの違いが分かりません。

違いが表れるのは、その想いの「背景」です。なぜそう考えるようになったのか(経験)。その想いが、仕事の中でどんな選択に表れているのか(判断)。実際に何を続けているのか(行動)。この3つがそろうと、同じ「地域に貢献したい」でも、その会社にしか書けない言葉になります。

経営者の想いを伝えるための3つの問い

1. なぜ、この事業を始めたのか

創業のきっかけや、そのとき解決したかった課題を振り返ります。

劇的なエピソードは必要ありません。「前の職場で、お客様が困っているのに対応できないことがあった」「家業を継ぐことになった」。きっかけが小さなことでも、そこから何を考え、どう動いたのかが伝われば十分です。

事業を引き継いだ経営者なら、「なぜ続けることを選んだのか」「引き継いでから何を変え、何を変えなかったのか」と問いを置き換えてみてください。

2. 仕事で、何を大切に判断しているのか

想いが最もはっきり表れるのは、日々の判断です。価格、品質、納期、お客様への説明のしかた、社員の働き方。迷ったとき、どちらを優先してきたでしょうか。

たとえば「納期を守るために品質を落とすくらいなら、正直に事情を伝えて相談する」と決めている会社なら、それがその会社の考え方です。理想を語るより、実際の判断と結びつけたほうが、読み手には伝わります。

3. これから、誰にどんな価値を届けたいのか

事業を通じて目指している方向を考えます。

このとき気をつけたいのは、すでに実現していることと、これから目指していることを分けて書くことです。まだ形になっていない目標を、実績のように書いてしまうと、読み手に誤解を与えます。「現在はここまで取り組んでいる。今後はここを目指している」と区別して伝えましょう。

経営者の想いを、読者に伝わる文章にするには

ここでは、架空の会社の例で比べてみます。以下の会社、出来事、数字は、すべて説明のための架空の例です。

架空のパソコン保守会社の代表メッセージ

  • 書き換え前:「私たちは、地域に貢献する企業を目指しています」
  • 書き換え後:「創業前、地元の小さな会社でパソコンが動かなくなっても、すぐに来てくれる業者がなく、仕事が一日止まってしまう場面を何度も見てきました。そこで、市内の会社を対象にした駆けつけ型の保守サービスを始めました。いまも、市内の契約先には、連絡を受けてから2時間以内に担当者が伺う体制を続けています」

書き換え後の文章には、「地域に貢献する」という言葉は出てきません。それでも、この会社が地域の中でどんな役割を果たそうとしているのかは、書き換え前よりはっきり伝わります。

ポイントは、きっかけとなった経験、そこから生まれたサービス、いまも続けている行動の3つを、順番につなげることです。

経営者へのインタビューで見えてくること

経営者自身にとって当たり前になっている経験や判断は、自分一人で書き出そうとしても、なかなか言葉になりません。本人にとっては前提すぎて、説明する必要を感じないからです。

そんなとき役に立つのが、第三者からの質問です。たとえば、次のような問いかけがあります。

  • 創業当初、どんなことに困っていましたか
  • お客様から言われて、今も覚えている言葉はありますか
  • 利益だけを考えれば別の選択もできたのに、あえて今の方法を選んだことはありますか
  • 社員に、これだけは大切にしてほしいと伝えていることは何ですか

最初の答えが「特に何もないですね」で終わることも、珍しくありません。そこで「そのとき、具体的にどうされたんですか」「なぜ、そうしようと思ったんですか」と重ねて聞いていくと、本人が意識していなかった判断の理由が少しずつ言葉になっていきます。

第1回で紹介したダイエット整体の例のように、本人には当たり前の行動が、外から見ると会社の特徴になっていることもあります。社内の人や、付き合いの長い取引先に聞き手になってもらうのも一つの方法です。

経営者の想いは、どこで発信すればよい?

ページの役割は第4回で紹介しました。ここでは、経営者の考え方をどこでどう届けるかに絞って整理します。

  • 代表メッセージ:3つの問いへの答えを、経験・判断・行動の順でまとめる
  • 会社紹介・沿革:年表に、その時々の判断の理由を一言添える
  • 採用ページ:社員に大切にしてほしいことと、その理由を伝える
  • 事例記事:お客様の案件で、会社の考え方がどんな判断に表れたかを伝える
  • コラム:日々の仕事で考えていることを、具体的な出来事とともに書く

一度にすべてを用意する必要はありません。まずは代表メッセージを見直すところから始めるのがおすすめです。

AI検索時代に、経営者の想いを発信する意味

事業の背景や方針をWebに公開しておくと、その会社について調べる人が参照できる情報になります。

Googleは、検索のAI機能に向けた公式ガイドの中でも、検索全体に共通する基本として、ほかの情報をまとめ直しただけの内容ではなく、独自の視点や、実際の経験にもとづく内容をつくることを勧めています。また、コンテンツづくりについての別のガイドでは、誰がその内容を書いたのかが分かるかどうかも、読み手の信頼を考えるうえでの確認点の一つに挙げています。経営者が自分の言葉で事業の背景を語ることは、こうした考え方とも重なります。

ただし、経営者の想いを載せたからといって、AIに評価されたり、紹介されたりすることが約束されるわけではありません。大切なのは、まず人に伝わる情報を整えることです。そのうえで公開された情報は、人が会社を知るための材料として残っていきます。

経営者の言葉に加えて、お客様の視点から会社の価値を伝える方法は、第7回の記事「お客様の声・導入事例はどう生かす?次のお客様の判断材料になる伝え方」で紹介しています。

まとめ|経営者の想いを、事業の言葉として残そう

経営者の想いは、立派なスローガンの中よりも、実際の経験や判断、続けてきた行動の中に表れています。

なぜ始めたのか。何を大切に判断しているのか。これから誰に何を届けたいのか。この3つの問いに、事実とともに答えていくことで、想いは会社の仕事を説明する「事業の言葉」になります。

まずは、仕事で譲れないことを一つ選び、そう考えるようになった出来事を書き出してみましょう。

参考資料

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