
「高品質」「丁寧」だけでは伝わらない?自社の強みを具体的な言葉にする3つのステップ
「高品質」「丁寧な対応」「豊富な実績」。企業サイトでよく見る言葉を、お客様に伝わる具体的な表現に変える3つのステップを、架空の書き換え例とともに経営者向けに解説します。
「高品質」「丁寧な対応」「安心のサポート」「豊富な実績」。
企業のWebサイトを見ていると、こうした言葉に何度も出会います。どれも間違いではありません。けれど、多くの会社が同じ言葉を使っているため、それだけでは会社ごとの違いが伝わりにくくなります。
第4回では、企業サイトで見直したいポイントの一つとして「自社が選ばれる理由を言葉にする」ことを紹介しました。今回はその続きとして、抽象的な言葉を一つ取り上げ、お客様に伝わる具体的な文章に変えるまでの手順をお伝えします。
なぜ、抽象的な強みだけでは伝わりにくいのか
一つめの理由は、受け取り方が人によって違うことです。
たとえば「迅速な対応」と聞いて、当日中の連絡を思い浮かべる人もいれば、1週間以内なら十分早いと感じる人もいます。「丁寧」も同じです。説明が細かいことなのか、連絡がこまめなことなのか、仕上がりがきれいなことなのか。書いた側と読んだ側で、思い浮かべるものが一致するとは限りません。
二つめの理由は、比べる手がかりにならないことです。どの会社も「丁寧」と書いていれば、読み手はその言葉では会社を選べません。お客様が本当に知りたいのは、その言葉の裏にある具体的な行動や仕組み、実績です。
では、AI検索との関係はどうでしょうか。Googleは公式ガイドの中で、ほかの情報をまとめ直しただけの内容ではなく、独自の視点や、実際の経験・専門性にもとづく内容をつくることを勧めています。そうした内容は長い目で見て生成AI検索での見え方にも影響する可能性が高いとしつつ、判断の基準は「サイトを訪れた人が満足できる内容かどうか」に置くよう案内しています。
原稿をつくる立場から見ると、強みを具体的な事実で書くことは、まず読み手が会社を比べ、選ぶための材料を用意する作業です。AIに向けた特別な書き方ではありません。具体的に書いたからといって、AIに引用されたり紹介されたりするとは限らないことも、あわせて押さえておきたい点です。
自社の強みを具体的な言葉に変える3つのステップ
ステップ1|抽象的な言葉を一つ選ぶ
まずは、自社サイトや会社案内、パンフレットに書かれている言葉の中から、「高品質」「丁寧」「迅速」「柔軟」のような抽象的な言葉を一つ選びます。
一度に全部を直そうとしなくて大丈夫です。トップページの目立つ場所に書いてある言葉や、社内でよく使われている言葉から始めると、見直しの効果を実感しやすくなります。
ステップ2|その言葉を裏付ける事実を探す
選んだ言葉について、次の問いで掘り下げていきます。
- 実際に、どんな対応をしているか
- どんな仕組みや工夫があるか
- お客様から、何を評価されているか
- 数字や具体的な事例で説明できるか
この段階では、きれいな文章にしようとせず、思いついた事実を箇条書きで書き出すだけで十分です。経営者一人で考えるより、現場の社員に「うちの丁寧さって、具体的に何だと思う?」と聞いてみると、思わぬ答えが返ってくることがあります。
大切なのは、経営者や社員にとって当たり前になっている行動を見落とさないことです。当事者には普通のことでも、お客様にとっては会社を選ぶ理由になっている場合があります。第1回で紹介したダイエット整体の例も、その一つです。第2回の「3つの問い」で強みの候補を見つけた方は、このステップでその根拠を集めていきます。
ステップ3|顧客にとってのメリットまで伝える
事実が集まったら、「自社が何をしているか」に加えて、「その結果、お客様にとって何がうれしいのか」まで言葉にします。
たとえば「工事の写真を毎日お送りしています」という事実があれば、お客様にとっては「現場に行けなくても、工事の進み具合を確かめられる」というメリットになります。事実とメリットをセットにすると、読み手は自分がそのサービスを受けたときの様子を思い浮かべやすくなります。
このとき、「必ず」「絶対に」のように、効果や成果を約束する表現は避けましょう。ただし、語尾をやわらげれば済むわけではありません。書く前に、その文章で自社が何を約束できるのか、それを裏付ける事実や根拠があるのかを確かめることが大切です。根拠のないことは、どんな言い回しにしても書かない。これが基本です。
抽象的な言葉を具体的にすると、どう変わる?
ここからは、書き換えの例を見ていきます。以下の会社名や数字、制度は、すべて説明のための架空の例です。
「丁寧な対応」の例(架空の住宅リフォーム会社)
- 書き換え前:「丁寧な対応を心がけています」
- 書き換え後:「お問い合わせから3日以内に担当者がご自宅に伺い、工事の範囲と費用の内訳を、図面を使ってご説明しています。工事中は、作業の進み具合を写真で毎日お送りしています」
「迅速な対応」の例(架空の業務用機器の修理会社)
- 書き換え前:「迅速に対応します」
- 書き換え後:「平日8時から18時までに受け付けたご依頼には、当日中に技術スタッフから折り返しのお電話をしています。市内には修理担当が2名常駐しています」
「豊富な実績」の例(架空のWeb制作会社)
- 書き換え前:「豊富な実績があります」
- 書き換え後:「これまでに、製造業・医療・飲食など12の業種で、合わせて80件以上のサイト制作に携わってきました。公開できる事例は、事例ページで紹介しています」
書き換え後の文章には、「誰が」「いつ」「何を」「どのくらい」が入っています。これが、具体的な文章にするときの目安です。
数字を使うときは、実際に確かめられるものだけにしましょう。また、「No.1」「業界トップクラス」のような比較の表現には、注意が必要です。消費者庁は2024年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、合理的な根拠にもとづかないNo.1表示は、景品表示法上の問題になると指摘しています。
なお、表現を具体的にしても、検索順位が上がったり、AIに選ばれたりすることが約束されるわけではありません。変わるのは、お客様が判断に使える材料が増えることです。
強みを見つけるヒントは、お客様の言葉にある
経営者が考える強みと、お客様が実際に評価している点は、必ずしも同じではありません。強みを探すときは、お客様の言葉も振り返ってみましょう。
- アンケートの自由記述欄
- 問い合わせのときに、最初に聞かれる質問
- 商談の中で、お客様が決め手として挙げたこと
- 長く利用してくれているお客様が、続けている理由
- お客様がほかの人に紹介するとき、自社をどう説明しているか
ポイントは、お客様の言葉をそのままメモしておくことです。社内の言葉に置き換える前の表現に、お客様の目線で見た強みが表れています。
お客様の声をサイトに掲載する場合は、本人の了承を得ることが前提です。言葉を都合よく書き換えず、要約する場合も本人に確認しましょう。名前を出さない場合でも、内容から個人が特定されないよう配慮が必要です。
見つけた強みを、どこで発信する?
ページの役割に合わせた書き分けは、第4回で紹介しました。ここでは、ステップ3でつくった「事実」と「お客様のメリット」を、それぞれのページでどう使うかを整理します。
- トップページ:強みを一文で言い切り、その根拠となる事実を一つ添える
- サービス紹介:「事実」と「お客様のメリット」をセットで書く
- 導入事例:お客様の言葉とあわせて、その強みが実際の場面でどう生きたかを伝える
- 会社案内:経営者が、なぜその強みを大切にしているのかを伝える
- 採用ページ:その強みを支えている社内の仕組みや、一人ひとりの役割を伝える
同じ事実でも、読む人によって知りたいことは違います。お客様にはメリットを、求職者には働き方や役割を、というように、読む人に合わせて言葉を選び直すと、強みが伝わりやすくなります。
強みだけでなく、事業の背景にある経営者の考え方を伝える方法は、第6回の記事『会社概要だけでは伝わらない?経営者の想いを「事業の言葉」にする情報発信』で紹介しています。
まとめ|強みは、大きな言葉より具体的な事実で伝える
「高品質」「丁寧」といった言葉そのものが悪いわけではありません。その言葉に具体的な事実を添えることで、初めてお客様に伝わる強みになります。
抽象的な言葉を一つ選び、裏付けとなる事実を探し、お客様にとってのメリットまで言葉にする。この3つのステップは、特別なツールがなくても今日から始められます。
まずは、自社サイトにある抽象的な表現を一つ選び、その根拠となる事実を書き出してみましょう。
参考資料
- Google「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」(Google Search Central/2026年10月9日確認)
- 消費者庁「『No.1表示に関する実態調査報告書』の公表について」(2024年9月26日公表/2026年10月9日確認)
この記事が参考になりましたか?
参考になったら「いいね」で応援できます。
現在 1 件のいいね
コメント
まだコメントはありません
この記事を読んで参考になった点や改善点をシェアしましょう
